CLOSE

親の歩く速度が遅くなったり、以前よりも食が細くなったりといった変化は、単なる年齢のせいだけではなく、健康と要介護の中間地点であるフレイルの可能性があります。フレイルは、放置すれば要介護リスクが高まりますが、適切な対策を行うことで健康な状態へ改善する可能性がある「可逆性」を持つため、予防が重要です。
本記事では、フレイルを引き起こす原因やメカニズム、チェックリストを使ったセルフチェック法をご紹介します。さらに、食事・運動・社会参加といった予防法と、現状を把握するためのチェック方法をお伝えします。
年齢を重ねるにつれ、心身の活力が低下した状態を「フレイル」と呼びます。フレイルは単なる老化現象とは異なり、適切な対策を講じれば健康な状態へ改善できる可能性が残されている段階を指します。どのような状態を示すのか、悪循環を生むメカニズムや健康寿命との関係性について詳しく見ていきましょう。
フレイルは、英語の「Frailty(虚弱)」を語源とする言葉です。健康な状態と、日常生活においてサポートを要する要介護状態の中間に位置づけられる段階にあたります。
一般的に、人間は年齢を重ねるにつれて筋力や認知機能が低下していく傾向にあり、このような変化は老化現象として避けられません。しかし、フレイルの状態にとどまっている時期であれば、適切な働きかけによって元の健常な生活へ引き返せる可能性が残されています。
この健康な状態に戻れる力こそが、フレイルの持つ大きな特徴である可逆性です。食事内容の見直しや運動習慣の定着、社会との関わりを持つ工夫を取り入れれば、再び元気な日常を取り戻せるでしょう。
反対に、心身の衰えを放置した場合は、転倒や病気をきっかけに一気に要介護状態へと進行しかねません。早めに自身の変化に気づき、日々の習慣を改善していく行動が、自立した生活を守る鍵を握ります。
フレイルは、一つの原因だけで進行するわけではありません。複数の要因が絡み合い、悪循環を生み出す「フレイル・サイクル」と呼ばれる負の連鎖を引き起こします。

加齢に伴い筋肉量が減少すると、基礎代謝が落ち、1日に消費するエネルギー量が少なくなります。消費エネルギーの低下は食欲の減退につながる場合があります。食事の量が減れば、体に必要な栄養素の中でも特に筋肉を作るタンパク質が不足し、低栄養の状態が続くとさらに筋肉量が減少し、筋力が低下していくという悪循環に陥るのです。
筋力が落ちると疲れやすくなり、体を動かす気力が湧かなくなって活動量が低下します。活動量の低下はさらなる食欲不振を招き、次々と負の連鎖が続いていくでしょう。フレイル・サイクルに一度足を踏み入れると、自力で抜け出すのが難しくなるため注意が必要です。
寿命には、生まれてから亡くなるまでの期間を指す「平均寿命」と、健康上の問題で日常生活が制限されずに生活できる期間を指す「健康寿命」の2種類があります。
厚生労働省が2024年12月に発表したデータによると、平均寿命と健康寿命の差は、男性で8.49年、女性で11.63年でした。平均寿命と健康寿命の間に生じている約10年の期間は、日常生活において何かしらの手助けや介護を必要とする可能性が高い時期を表しています。
最期まで自分らしく自立した生活を送り続けるためには、この期間をいかに短く抑えるかが重要です。要介護状態へ進む手前のフレイルの段階で衰えを食い止められれば、将来の生活の質を高く保てるでしょう。
フレイルが進行するきっかけは、単なる筋力の衰えだけではありません。体や心の状態、日々の暮らし方など、さまざまな要素が複雑に絡み合って引き起こされます。具体的にどのような理由で心身の機能が低下していくのか、代表的な3つの原因をご説明します。
体の衰えは、フレイルを招くもっとも直接的なきっかけです。年齢を重ねて筋肉量が減る「サルコペニア」や、歩行能力などの運動機能が落ちる「ロコモティブシンドローム」が主な原因に挙げられます。筋肉や骨の機能が低下すると、以前よりも歩く速度が遅くなったり、階段の上り下りが辛くなったりと、日常生活の動作に支障をきたすようになります。
また、口の周りの筋肉が衰える「オーラルフレイル」にも注意が必要です。噛む力が弱まり、飲み込みがスムーズにいかなくなると、食事を十分に楽しめなくなり、必要な栄養を摂取する機会も減ってしまうでしょう。
体だけでなく、心の状態や認知機能の低下も、フレイルの進行に大きく影響します。定年退職や身近な人との別れをきっかけに、意欲が減退したり、ふさぎ込みがちになったりする状態が典型的な例です。
気分の落ち込みが続くと、外出や趣味に対する興味が薄れ、日々の活動量が自然と減少してしまいます。そして、活動量の低下は認知機能の低下リスクを高め、判断力や記憶力の低下につながる可能性があります。気力の低下は周囲からは見えにくい変化であるため、本人や家族が意識して心の健康状態に気を配る必要があります。
一人暮らしの増加や、地域社会との交流が減るといった環境の変化も、フレイルを招く一因となります。仕事を引退したり、体力が落ちたりして自宅に閉じこもりがちになると、他者との会話や外部からの刺激が極端に少なくなるでしょう。
社会とのつながりが絶たれると、身だしなみを整えたり、決まった時間に食事をしたりといった生活のリズムが乱れやすくなります。人との交流がない環境では、自身の衰えに気づいてくれる人がおらず、心身の機能低下が加速するおそれもあります。心身の健康を守るためには、周囲との関わりを保ち、社会の一員としての役割や居場所を持ち続ける工夫が欠かせません。
フレイルの状態にあるかどうかを判断するために、家庭や医療の現場でいくつかの確認方法が用いられています。ここでは、手軽にできるセルフチェックから、専門的な質問票まで、ご自身やご家族の今の状態を把握するための基準をご紹介します。
指輪っかテストでは、特別な道具を使わずに、筋肉量の減少を確認できます。やり方は簡単で、両手の親指と人差し指で輪を作り、ふくらはぎのもっとも太い部分を囲んで測定するだけです。
指で作った輪っかよりもふくらはぎが細く、隙間ができてしまう場合は、筋肉量が大きく減少している可能性があります。反対に、輪っかで囲めない場合は、筋肉量が保たれている可能性が高いと考えられます。
さらに詳しく状態を把握するために、身体の機能に着目した「イレブンチェック」や「J-CHS基準(改訂日本版フレイル基準)」が活用されています。例えば、J-CHS基準では、下記の5つの項目を確認し、当てはまる数で判定します。
出典:国立研究開発法人国立長寿医療研究センター「健康長寿教室テキスト第2版」
上記の項目のうち、3項目以上に該当する場合はフレイルと判定されます。1~2項目に当てはまる場合は、フレイルの前段階である「プレフレイル」と呼ばれ、生活習慣の見直しが必要になるタイミングです。
厚生労働省の「基本チェックリスト」は、25項目の質問に回答すれば、生活機能の低下を幅広く確認できます。運動機能や栄養状態、口腔機能だけでなく、物忘れや閉じこもりの傾向といった精神面・社会面までチェックが可能です。
各項目に回答していくと、どの分野に衰えの兆しがあるのかが分かります。チェックリストを活用して自身の状態を正しく把握できれば、生活習慣を改善するための目標が見えてくるでしょう。
筋肉量を保ち力強く歩き続けるには、毎日の食事が鍵を握ります。効率的な栄養摂取と噛む力を維持する方法をご紹介します。
筋肉の材料となる肉・魚・卵・大豆製品を積極的に食べましょう。タンパク質は一度にまとめてとっても体内で活用しきれません。朝・昼・晩の3食に分けて食べると、効率よく筋肉の維持につなげられます。
多様な食材を取り入れるには、日々の食事で食べた食品群を意識する習慣が大切です。肉・魚・卵・牛乳・大豆・海藻・いも・果物・油・緑黄色野菜の10群を指標にしましょう。足りない品目を翌日に補う意識を持つだけで、栄養状態は自然と整います。
噛む力や飲み込む力を保つため、口まわりの筋肉を動かす体操を取り入れましょう。定期的な歯科受診で歯や入れ歯の状態を確認すると、食べる力を維持できます。
年齢を重ねると、体内の水分量が減る一方で、喉の渇きを感じにくくなります。気づかないうちに水分が不足し、便秘や体温調節機能の低下を招くため、生活の中でこまめに水分をとる習慣を持つと体調管理に役立ちます。
一人で食べる「孤食」は、品数の減少や食欲減退につながります。家族や友人と食卓を囲む機会を増やせば、会話が刺激となり食事の質も向上するでしょう。
日常生活の中での活動量を増やせば、筋力の低下や転倒による寝たきりを防げます。無理なく続けられる運動方法をご紹介します。
運動の時間をわざわざ作らなくても、今より10分だけ長く体を動かす意識を持ちましょう。散歩の時間を延ばしたり、エスカレーターではなく階段を使ったりする日々の積み重ねが、身体機能の維持につながります。
筋肉量を保つには、太ももなどの大きな筋肉を刺激するのが有効です。椅子に座ったまま足を上げる動作や、椅子の背もたれにつかまって行うスクワットなら、自宅で安全に取り組めます。
バランス能力を高めて転倒や骨折を防ぐために、片足立ちを取り入れましょう。机に手を添えた状態で左右交互に1分間ずつ立つだけで、足腰が安定します。併せて、関節をほぐすストレッチを続ければ、けがの防止に役立ちます。
「ウォーキングをしながら計算をする」「しりとりをしながら歩く」など、体と頭を同時に刺激する方法が効果的です。2つの作業を同時にこなす適度な負荷が、脳を活性化させます。
運動を長く続けるために、日々の頑張りが一目で分かる工夫をしましょう。歩数計の活用やカレンダーに印をつけるなど、記録を残すと励みになります。これまでの成果を振り返れば、自信が湧き、意欲を維持できます。
他者との関わりが減ると、意欲の低下や心身の衰えが進みやすくなります。社会と接点を持ち続ける方法をご紹介します。
得意分野や関心のある活動に加わると、外出する機会が自然に増えます。近所の公民館で行う体操教室や趣味の会は、新しい人間関係を築く場として最適です。役割を持つと生活に充実感が生まれ、心身の健康維持に役立ちます。
誰かの役に立つ実感が得られると、日々の暮らしが充実します。地域の清掃活動やシルバー人材センターでの就労など、無理のない範囲で自分ができる活動に携わりましょう。経験やスキルを生かせる喜びは、日々の生活を豊かにしてくれます。
行事への参加だけでなく、日常の些細な交流も大切です。近所の人との挨拶や友人への電話といった何気ないやり取りが、脳を刺激します。コミュニケーションを絶やさない習慣が、孤独を防ぎます。
買い物や散歩など、日々の用事を作って外に出る習慣をつけましょう。歩く機会が増えるだけでなく、外の景色や季節の変化がよい刺激になります。
外に出るのをためらう原因があれば、事前に対策を立てておきましょう。「トイレの場所をあらかじめ確認する」「緊急時の連絡先を持ち歩く」といった備えがあれば安心です。不安を一つずつ取り除けば、前向きな気持ちで出かけられます。
住み慣れた自宅での生活を続けるには、日々の安全確保が欠かせません。一人で過ごす時間が増えても、すぐ助けを呼べる仕組みがあれば、本人だけでなく家族も安心です。CSPのサービスは、自宅内での転倒や体調急変への備えとして活用できます。
シニア向け見守りサービスの「見守りハピネス」は、体調の変化や転倒の際、コントローラーやペンダントの緊急ボタンを押すとCSPの指令センターへ通報できるサービスです。通報を受けた指令センターで状況を確認し、必要に応じてパトロール員が自宅へ駆けつけます。24時間体制で健康相談を受け付けており、日常の健康管理にも役立ちます。
「ファミリーガードアイ+」は、留守中から在宅中や就寝時まで、24時間体制で安全を見守るホームセキュリティサービスです。各種センサーが侵入や火災・ガス漏れなどの異常を24時間365日監視しており、異常を検知するとCSPの指令センターに自動通報され、必要に応じてパトロール員が現場へ駆けつけます。緊急ボタンによる通報も可能で、万が一の事態にも的確な対応を行い、ご自宅での安全な暮らしを守ります。
将来的な要介護状態を防ぐフレイル予防には、住み慣れた自宅で安心して過ごせる環境づくりが欠かせません。一人で過ごす中での転倒や体調急変への不安は、心身の衰えを加速させる要因となります。
CSPのサービスを導入すれば、体調不良やけがなどの緊急時にボタン一つで通報でき、必要に応じてパトロール員が現場へ駆けつけます。迅速に助けを求められる環境が、日常生活の不安軽減につながり、自立した生活を一日でも長く継続させる支えとなるでしょう。
ホームセキュリティサービス「ファミリーガードアイ+」の詳細ページはこちら↓
ホームセキュリティサービス「ファミリーガードアイ+」
シニア向け見守りサービス「見守りハピネス」の資料請求やお見積り依頼はこちら↓
おすすめ記事