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介護保険の認定調査は、介護サービスを利用するために欠かせない、要介護度を判定する重要なステップです。しかし、「どのように調査が進むのか」「何を伝えれば適切な認定を受けられるのか」など、不安や疑問を抱えている方も少なくありません。
ここでは、認定調査の流れや注意点から、後悔しないためのコツや認定結果に納得できない場合の対処法まで、詳しくご説明します。
介護保険の認定調査とは、申請者がどれくらいの介護を必要とする状態にあるかを判断するための調査です。この調査結果に基づいて、要介護度が判定され、利用できる介護サービスの種類や量が決まります。
申請する前に知っておきたい、介護保険の認定調査に関する基礎知識をご紹介します。
介護認定調査は、自治体の職員や、委託を受けた地域のケアマネージャーなどの調査員が申請者の自宅や施設を訪問し、心身の状態を確認する調査です。調査内容は、本人の健康状態や日常生活の動作、認知機能など多岐にわたり、質問形式で行われます。
調査員は厚生労働省が定めた調査項目に基づいて調査を行い、その結果をもとに介護認定審査会で審議が実施された後、申請者に要介護度が通知されます。介護認定調査の結果が、今後受ける介護サービスの基準となるため、正確な情報を伝えることが重要です。
介護保険の認定を受けるためには、5つの手順を踏む必要があります。
介護が必要になったら、自治体の介護保険窓口で要介護認定の申請を行います。申請は本人や家族の他、ケアマネージャーや地域包括支援センターを通じても可能です。
調査員が自宅や施設を訪問し、身体機能や認知機能の状態、生活の様子などを聞き取ります。家族やケアマネージャーも立ち会い、本人の状態について補足説明することが一般的です。
申請者の主治医が、病歴や健康状態についての意見書を作成します。こちらも、認定審査の重要な判断材料になります。
また、主治医がいない場合は、自治体の指定医による診察が必要です。
認定調査の結果と主治医意見書をもとに、コンピュータによる一次判定と、介護認定審査会での審議による二次判定が行われます。
申請から30日以内に要介護認定の結果が通知されます。結果に納得がいかない場合は、異議申し立ても可能です。
要介護度の目安をまとめると、以下のとおりとなります。
要介護度 | 状態像の目安割合 |
---|---|
要支援1 | 日常生活の能力は基本的にあるが、入浴などに一部介助が必要。 |
要支援2 | 立ち上がりや歩行が不安定。 排泄、入浴などで一部介助が必要であるが、「適切なサービス利用により、明らかな要介護状態に移行することを防ぐことができる可能性がある」 |
要介護1 | 立ち上がりや歩行が不安定。 排泄、入浴などで一部介助が必要。 |
要介護2 | 起き上がりが自力では困難。 排泄、入浴などで一部または全介助が必要。 |
要介護3 | 起き上がり、寝返りが自力ではできない。 排泄、入浴、衣服の着脱などで全介助が必要。 |
要介護4 | 排泄、入浴、衣服の着脱など多くの行為で全面的介助が必要。 |
要介護5 | 生活全般について全面的介助が必要。 |
スムーズに調査を受けるために、当日の流れや注意点を把握しておきましょう。
認定調査にかかる時間は、30分から1時間程度です。ただし、あくまでも目安で、調査対象者の状況によっては長引くこともあります。
特に、認知症の方や意思疎通が難しい方の場合は、調査に時間がかかることも少なくありません。
認定調査の調査項目は、「身体機能・起居動作」「生活機能」「認知機能」「精神・行動障害」「社会生活への適応」の5つの項目に分けられており、調査員は対象者へ聞き取りを行ったり実際の行動を確認したりして、各項目の評価を行います。
身体機能・起居動作 | 起き上がり、歩行、関節の動きの制限や麻痺の有無など |
---|---|
生活機能 | 食事、着替え、歯磨き、排泄など |
認知機能 | 記憶力、意思疎通能力、認知症の有無や程度など |
精神・行動障害 | 情緒不安定、昼夜逆転、不安や抑うつなど |
社会生活への適応 | 買い物、金銭管理、簡単な調理、服薬など |
介護保険の認定調査で、実際より高い介護度を望むのは逆効果です。不正確な判定に基づいて過剰な介護サービスを受けてしまうと、本人の自立性が失われ、結果的に介護度が進行しやすくなるおそれがあります。
健康を維持し、適切な介護を受けるためにも、正直に状況を伝えましょう。
認定調査では、限られた時間の中で、普段の生活状況や心身の状態を正確に伝えなければなりません。そのため、事前の準備が非常に重要です。
後悔しないためにやっておきたい、4つのことをご紹介します。
対象者が普段の生活状況を伝えるのが難しい場合、家族のサポートが重要です。家族が調査に同席することで、生活の詳細な状況や困りごとを補足的に説明できます。
そのため、家族が立ち会える日時に、調査日程を調整することが大切です。
調査員は限られた時間内で対象者の状況を評価するため、普段の生活の様子や困りごとを事前にメモしておくと、調査の際にスムーズに伝えられるでしょう。日常の動作で困っていることや、援助が必要な場面をまとめておくと、正確な要介護度判定に役立ちます。
認定調査では、さまざまな質問がされます。事前に質問事項を把握しておくことで、落ち着いて回答できるでしょう。インターネットや自治体の窓口などで、調査内容を確認しておくことをおすすめします。
認定調査では、これまでの病歴やけがの状況が評価に影響する場合があります。過去の病気やけがについて、診断書やお薬手帳などを準備しておくと、必要な情報を正確に伝えられるでしょう。
特に、脳梗塞や骨折など、現在の身体機能に影響を与えている病歴がある場合は、しっかりと伝えることが大切です。
調査で正しい評価を受けるためには、事前準備に加えて当日の対応が重要です。後悔しないための5つのコツをご紹介します。
認定調査には、必ず家族が立ち会うことをおすすめします。家族は、本人の普段の様子をよく知っており、調査員に正確な情報を提供できるからです。本人が緊張している場合でも、家族がいれば安心して調査を受けられるため、調査員に自然体の様子を見てもらいやすくなるでしょう。
また、家族が立ち会うことで、調査員からの質問に対して、本人だけでは伝えきれない情報を補足できます。特に、認知症の方や意思疎通が難しい方の場合は、家族の協力が不可欠です。
認定調査では、「できること」と「できないこと」を正直に伝えることが重要です。できないことを過剰にアピールしたり、できることを隠したりすると、適切な要介護度判定が受けられなくなる可能性があります。特に、移動の困難さや日常動作での支障については、具体的に説明しましょう。
また、困難な状況を、必要以上に大げさに答えることはNGです。不正確な情報に基づいて高い介護度が判定されると、不必要なサービスを受けることで心身の機能低下を早めてしまう場合があります。公平かつ正確な評価を受けるためにも、ありのままの状況を伝えるように心がけましょう。
調査員からの質問に対して、あいまいな返答やその場しのぎの返答をせず、正直に答えることで、調査員は本人の状態を正確に把握し、適切な要介護度判定を行うことができます。
調査時に出ていない症状でも、普段から困っていることがあれば、調査員に伝えましょう。
「夜間に何度も目が覚める」「ゴミや不用品をため込む」など、普段の生活で困っていることがあれば、些細なことでも伝えておくことが大切です。
これらの情報は、調査員が本人の状態をより正確に理解するために役立ちます。また、調査時に症状が出ていなくても、普段から困っていることを伝えることで、適切な介護サービスにつながる可能性があります。
例えば、調査時には歩行が安定していても、普段から転倒の危険がある場合は、そのことを伝えておくことで、歩行器の利用や、転倒予防のための環境整備などの支援を受けられるかもしれません。
困っていることを伝える際は、具体的に伝えるようにしましょう。例えば、「歩くのが大変」というだけでなく、「2階に上がろうとすると、半分上がったところで足が痛くなり、休憩が必要になる」というように、具体的な状況を伝えることで、調査員はより正確な情報を得られます。
また、困っていることだけでなく、「どのような支援があれば生活しやすくなるか」という要望も伝えておくことも、適切な介護サービスを受けるコツです。「階段の上り下りが大変なので、手すりを設置してほしい」など、具体的な要望を伝えることで、調査員は適切な介護サービスを検討できます。
主治医による意見書は、認定調査において重要な役割を果たします。意見書には、本人の過去の病歴や現在の健康状態、介護が必要な理由などが記載されており、介護認定審査会ではこの情報を参考にし、要介護度の判定を行うからです。
事前に主治医に相談し、意見書の作成を依頼しておきましょう。
介護保険の認定調査の結果が、必ずしも納得できるものとは限りません。認定結果に納得できない場合の、主な2つの対処法をご紹介します。
認定結果に不服がある場合は、介護保険審査会に「不服申し立て(審査請求)」を行えます。審査請求を行うことで、再調査の依頼が可能です。依頼を受けた審査会が、再度認定調査を行うことで、認定結果が変わる可能性もあります。
ただし、再調査を行ったからといって、必ずしも希望どおりの認定結果が出るとは限りません。そのため、再調査を依頼する前に、主治医やケアマネージャーなどの専門家に相談し、十分に準備を整えておくことが大切です。
認定結果が出てから、本人の心身の状態が悪化した場合や、介護の必要性が高まった場合は、区分変更を申請できます。区分変更の申請は自治体窓口で行い、再度認定調査と医師の意見書の提出が必要です。
介護は家族にとって大きな負担となることが多く、精神的・肉体的な疲労を感じることも少なくありません。家族の負担を軽減するには、サポートサービスの活用をおすすめします。
例えば、介護保険を利用すれば、デイサービスや訪問介護などの公的な介護サービスを受けることが可能です。家族だけで介護を抱え込まず、プロの手を借りることで、心身の負担を減らせます。特に、デイサービスやショートステイなどの一時的な介護サービスを利用すると、家族が休息を取る時間も確保できるでしょう。
また、CSPの「見守りハピネス」のような見守りサービスを活用することで、高齢者の方が一人で過ごす時間をサポートできます。センサーを活用した見守りや緊急通報機能により、万が一のときにも対応できます。
介護保険の認定を受けても、すぐに十分な介護サービスを利用できるとは限りません。そんなときこそ、「見守りハピネス」を活用し、高齢者の方が安全・安心に生活できる環境を整えましょう。
介護保険の認定調査で大切なのは、事前の準備や正しい対応です。日常生活の様子を具体的に伝え、必要な支援を適切に受けられるようにしましょう。
ただし、介護は認定後が本番です。要介護度に応じたサービスを受けられるようになっても、家族の負担がゼロになるわけではありません。特に、介護者が留守中の時間帯や、夜間・早朝などの対応が難しい時間帯には、見守りサービスを活用することで、安心して日常生活を送れます。
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